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1.8mの深い軒が突き出す、キャンプ好き夫婦が叶えたアウトドアを楽しむ家

2026.07.07
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※本記事は住宅情報WEBマガジン Daily Lives Niigata による取材記事です。

 

アウトドアを楽しめる郊外の土地で家づくり

新潟市江南区の中でも周辺に水田が広がる昔ながらの集落内で家を建てたKさん夫婦。への字型の大きな屋根が特徴的な建物で、南側に迫り出した深い軒は、帽子のつばのように強い日差しを遮っている。

120坪の広い敷地は元々ご主人の実家が所有していた土地で、家を建てる前は竹やぶだったという。

「昔から実家の向かいにあるこの土地に家を建てたいと思っていたんです。キャンプが好きだから、庭で焚き火をしながらお酒を飲んだり、テントを張ったりしたいと思っていました」(ご主人)。

Kさん夫婦と風間さんとの出会いは約10年前に遡る。当時新潟市内の住宅会社で働いていた風間さんに家づくりの相談をしていたが、諸事情で実際に家を建てるところまでは進まずに一度家づくりをストップしていた。

そして、息子さんの小学校入学前に家を建てようと考え、再び動き出したのが2年前。

「風間建築事務所として独立した風間さんのオープンハウスに行って改めて家づくりの相談をしたんです。風間さんが設計する家は目立たない巾木が使われていたり、笠木や窓台の見付けが薄くつくられていたり、そういうセンスがいいなあと思っていました。木と壁紙の割合もきれいで、自然素材を使っていながらもモクモクしくない雰囲気にも惹かれました」(ご主人)。

 

1.8mの深い軒にはタープを取り付けられる金具も

3方を道路に囲まれたK邸は、実家がある北側とカーポートがある東側にアプローチが設けられている。

どちらもコンクリート平板が飛石のように配されており、北側からのアプローチは一直線に、東側からのアプローチは蛇行するようにして建物コーナーのポーチに至る設計だ。

建物の妻側はしっかりとケラバを出したデザイン。垂木をはしご組にすることで屋根の側面をすっきり見せるというこだわりも見られる。

軒の出は壁から1,820mmもの長さがあるが、登り梁を壁の外に910mmはね出すことで柱を立てることなく構造的に成立させているのもポイントだ。

登り梁には金具が付けられており、ここにタープを取り付ければ軒をさらに拡張できる。

「軒はとにかく長く出してほしいと要望をしました。掃き出し窓の外はウッドデッキではなくコンクリートのテラスにしています。木のデッキはいつかは朽ちてしまうイメージがあったので、家と庭をつなぐ場所としてステップのあるテラスにして頂きました。庭はまだ土の部分が目立つので本格的に使っていませんが、グランドカバーのクラピアで覆われるようになったらテントを張って外で寝てみたいですね」(ご主人)。

 

アウトドアギアをたっぷり収納できる玄関兼土間収納

玄関ドアを開けると現れたのは、想像以上に奥行のある土間空間。約7畳の広さがある。

右手のラーチ合板を張った壁には可動棚が取り付けられており、テントや椅子、ランタンやバーナーなどのキャンプ道具がずらりと並んでいる。

奥の壁は有孔ボードで、こちらはリュックや帽子を飾りながら収納するスペースだ。

収納棚を多めに確保する都合上、窓は高い位置に配置しているが、自然光が天井に反射して空間全体を照らすため、日中は照明を点けなくても十分な光に包まれる。見上げれば道路向かいにある木々が眺められるのもこの土地の魅力だ。

 

オリジナリティあふれる造作洗面台&造作キッチン

玄関からの動線は2つあり、手前はLDKへとつながる動線。もう一方の奥にあるのは洗面スペースを通ってトイレや脱衣室、浴室へと向かうための動線だ。

奥にある入口から入るとすぐの場所に洗面台があり、ここで手洗いができる。

幅1,300mmのゆとりある天板にLIXILのカスタムバニティのパーツ「ハイバックひろびろボウル」を組み合わせた造作洗面台は、機能とデザインの両方を兼ね備えている。

「ハイバックなので水栓周りに水滴が垂れても気にならないのがいいですね」とご主人。さらに進んでいくとLDKを通らずに脱衣室・浴室に入れるため、スポーツで汗をかいた後などはスムーズにシャワーを浴びに行ける。

もう一方のLDKとつながる入口がこちら。

キッチンが最も手前にあり、その奥にダイニング、リビングが続いている。

「私は動線を重視していたので、キッチンを手前につくって頂きました。買い物から帰った後すぐに荷物を置けるのがとても便利ですね」と奥様。

キッチンは面材にラワン材を使った造作キッチン。使いやすさを考慮して冷蔵庫は手前にレイアウトしている。

赤みの強いラワン材はオークの床との相性もいい。天板には料理好きなご主人が希望したバイブレーション仕上げのステンレスを使用している。

「このような造作キッチンはメーカー既製品の標準グレードから一つランクを上げたくらいの金額でつくることができます。ラワン材を使ってうまくコストを抑えているのがポイントですね」と風間さん。

「風間さんは高い素材を使わなくてもかっこよく見せてくれるんですよ」とご主人は満足そうに話す。

また、玄関とキッチンの間の壁は天井付近をあけることで抜け感をつくり出しているのも特徴だ。

棚にはキャンプ好きなKさん家族らしい、シェラカップなどのアウトドアでも使えるアイテムが並んでいる。

 

登り梁で上下階をダイナミックにつなぐ

そして、キッチンに立つと目の前には開放的なリビングが広がる。

登り梁を用いた勾配天井の大空間は風間さんが得意とする設計手法の一つ。天井はそのまま2階へと続いており、最も高い場所にある棟木もよく見える。

この勾配天井が1階と2階をつなぐ役割を果たしており、一層の開放感を感じさせる。

集成材を使ったジグザグの階段は、風間建築事務所のオフィスの階段を見てご主人が希望したもの。側桁や段鼻のないすっきりとしたデザインが浮遊感を感じさせると共に、階段下は箱階段のように収納スペースとして活用できる。

踏板にはさり気なく「Previo M」という樹脂製の滑り止めも埋め込まれており、しっかりと安全性へ配慮がなされている。

 

リビングの窓は、構造バランスが考えられたレイアウト

リビングと庭をつなぐ開口部に使われているのは高さ2,000mmの掃き出し窓とFIX窓。目の前にはテラスと庭が広がっている。

整った構造に忠実に窓が配されており、登り梁から伝わってくる荷重が真っすぐに柱を伝って基礎、地盤へと流れていくイメージができる。そして、その合理的な設計が均整の取れたデザインになっている。

「庭でバーベキューをやる時は、キッチンで下ごしらえをして、準備ができたら掃き出し窓から簡単に運べます。外にいるのが暑いという人はエアコンの効いた室内で庭を眺めながら過ごせるのもいいですね」(ご主人)。

 

回遊動線上の主寝室に、屋根裏部屋のような子ども部屋

元々平屋に憧れていたKさん夫婦の主寝室は1階のリビングの隣に配されている。

高窓から印象的な光が入る6畳の空間で、その隣にはカーテンで仕切れるウォークインクローゼットがあり、さらに進むと脱衣室へとつながる。

寝室・ウォークインクローゼット・脱衣室は1階の回遊動線上に配されており、スムーズに家の中を行き来できる。脱衣室で乾かした洗濯物をすぐ隣にあるウォークインクローゼットに収納できるのもこのプランの優れたところだ。

そして、階段を上がった2階には5.5畳のホールがあり、両側に個室が一つずつと小屋裏収納が配置されている。

1階の床面積が23坪なのに対し、2階は11坪とコンパクト。天井高も抑えられた2階はロフトのような空間で、ホールからはリビングやダイニング、庭までを一望できる。

上下階がつながっているため、1階の南側の窓と2階の北側の窓を開けておけば、無風の日でも重力換気(温かい空気が軽くなって上昇する性質を利用した換気方法)で風が通り抜ける。

このような自然の原理を上手に使った設計は風間さんがこれまでも積極的に取り入れてきた手法。夏場の南側からの直射日光を遮る深い軒も相まって、初夏はエアコンを使うことなく通風だけで快適に過ごせるように考えられている。

2階の東側に設けられているのが息子さんの部屋。

天井高は平均すると2,147mmあるためロフトではないが、屋根の構造材を現した空間は屋根裏部屋のような非日常感がある。

 

友人たちとバーベキューをするのが休日の楽しみに

Kさん夫婦に、この家に住んでみての感想を伺った。

「アパートに住んでいた頃と比べて家に帰るのが好きになりました。それから、友人を招いて家でバーベキューをしたりお酒を飲んだりするようになりましたね。

子どもも伸び伸びと過ごせるようになりました。アパート暮らしの時は室内で遊ぶことが多かったですが、今は庭で遊べるようになったのも良かったことです。あとは玄関の土間収納が最高です。その一方でリビングなどの生活空間にはアウトドア感は出さずバランスよくまとめられているのがいいですね」(ご主人)。

「私はすべての動線が便利だなあと感じています。買い物帰りも、洗濯物を片付けるのもスムーズですし、1階に寝室があるのもいいですね。

アパートではできなかった野菜づくりにも挑戦しています。今年はプランターでやっていますが、ゆくゆくは庭に畑をつくりたいですね」(奥様)。

「冬の日射取得と夏の日射遮蔽を考慮して軒の出を長くするために、登り梁を外にはね出す構造にしたのが今回工夫したことの一つです。

リビングの天井の登り梁や合板も現しにすることで、屋根が外まで連続していることが視覚的に分かるようにしています。

垂木は一般的なものよりも大きい2×6材(38mm×140mm)を使い、そこにできた空間に断熱材を充填する設計にしているのも特徴です。

それから『建物を低く見せたい』というご要望を頂いていたので、なるべく建物の高さを抑えつつ、2階は天井を張らずに構造を現しにすることで広さを確保するようにしました」と風間さん。

利便性の高いエリアの住宅街ではなく、郊外ののどかな土地で大好きなアウトドアを楽しめる暮らしを始めたKさん家族。

大きな屋根と深い軒が特徴的な住まいはとても大らかで、心地いい風が流れている。

 

K邸
新潟市江南区
延床面積 114.68㎡(34.68坪)、1階 77.42㎡(23.41坪)、2階 37.26㎡(11.27坪)

写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平

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